外傷講座 手・指

指のケガ

指のケガの中で一番多いのは、俗に言う「突き指」と言われるものです。
簡単に思われる「突き指」ですが、これがやっかいで、 私共の施術所へ来院される患者様も、ご本人は大したことがないと判断して来院されますが、中には骨折があったり、また逆に外見がひどい場合でも骨折が見つからず単なる捻挫の場合もあったりします。

ただ靱帯や腱を伸ばしただけであっても、初期施術とその後の処置がきちんとしていないと、関節が固まったり、いつまで経っても痛かったり、また、腫れが引かなかったりする場合もあり、やっかいな外傷の1つです。

骨に異常が無く、まずは靱帯や関節包等の「軟部組織」が壊れる。
これが一般に言われる「突き指」損傷です!

このような場所が痛くなります。


これは上の絵の靱帯が切れてしまったレントゲン写真です。
右側のレントゲン写真では何でもないようですが、左の写真のようにストレス(横への力)をかけると、関節のスキマが広がるのがわかると思います。

よく、指を引っ張ればいいと言いますが、むやみに皆様が引っ張ってはいけません!
私たちが施術時に時々引っ張ることがあるのは、「徒手整復」という医療技術で、これは亜脱臼や微妙に狂った関節を正しい位置に戻し、関節を元の生理的な範囲に上手に戻している行為に他なりません。

私たちの独特な手技の1つで、現在では多くの医療従事者が、関節の調整手技の1つとして使用している技術でもあります。
このように靱帯が切れたものであっても、きちんと正しく処置をすれば、元通りの正常な関節へと復元され治癒しますのでご安心ください。

指のケガというのは、どんなスポーツの際にも起こるものです。一般の方には、捻挫や骨折、脱臼などの鑑別や判断をすることは難しいと思われますので、ご自分で動かして痛みや腫れがあるようなら、出来るだけ早めに整骨院や整形外科を受診された方がよいでしょう。


指の剥離骨折

これもまたやっかいな骨折の一つです。
関節の角の骨が小さく欠けて、剥れるように(はがれるように)骨折するのでそう呼ばれます。
施術を慎重にしなくてはならない理由は、指の曲がる関節の大切な部分で起こる骨折であるからです。

指の関節というのは小さく精密に作られていて、その部分でこのような骨折が起きてしばらく放置してしまうと、1週間から10日ほどで骨が出来始めてしまうため、指が曲がり辛くなったり関節が固まったりする場合があるので注意が必要です。

矢印の部分の丸い小さな骨が見えますか?
このように見える種子骨という骨もありますが、これは剥離(はくり)されて出来た骨のかけら、骨片です。
このままにしておくと、指が曲がらなくなってしまうので、一刻も早い処置と施術が必要です。
これを捻挫と言います。


マレットフィンガー

これは指先の一番先の関節部分の腱が切れたり、腱が骨をむしり取って剥離骨折を起こして、指先が伸びなくなる症状を呈する外傷です。

ボールを受ける際や、手を不意に伸ばした際などに、指先が瞬間的に物に当たり発生します。

腱が切れるだけですと、あまり痛みはありませんが、剥離骨折を伴うものは痛みが比較的強く出るようです。どちらかというと、腱の断裂した(切れた)損傷より、剥離骨折の方が治りがいいようです。

指先が少し曲がっただけの軽い症状の場合もありますが、痛みが軽いため放置し、変形が永続的となって取り返しが付かないこともありますので注意が必要です。

正しい初期施術や処置を怠りますと、指をピンとまっすぐ伸ばすことが出来なくなってしまいます。
ベースボールフィンガーといわれるように、よく、野球をしている方が、変形して曲がった指を勲章のように自慢(?)していることがありますが、女性にとっては美醜の問題からきっとつらいことだと思われます。

この症例は、骨折していることから比較的痛みが強く、腱が切れている時に比べ腫れも若干強く出ることが多いようです。
特徴的な外見から、マレットフィンガーと言われますが、いずれにせよレントゲン診断で確定することが出来る骨折です。
その施術は、マレット装具という特殊な固定装具を装着して、骨や腱の癒合を待つということとなります。
症状の強いケースには「手の外科」領域の専門的治療が必要となり、観血手術となるケースも散見されます。


脱臼

一般的に、指の脱臼は比較的簡単に徒手整復できるものが多くありますが、親指の脱臼の整復には、かなり難しいものが含まれます。
指の脱臼では、一般的に関節に階段状の変形が出て動かせないことから直ぐ分るものですが、脱臼しても痛みが軽く場合によってはあまり顕著に外見変形が現れず、「突き指」と誤解され放置されてしまうケースもありますので、十分な注意が必要です。

このレントゲン写真から、一番先の関節が脱臼して骨が騎乗しているのが分ります。

しかし、ピンクでなぞった皮膚の表面の線はあまり脱臼している階段状の変形が現れず、腫れも少ないことが分るでしょうか?これが一番怖いケースで、見逃されます。外見変形と腫れがあまり無い稀な症例ですが、当然ながら脱臼している関節は自分で曲げることは出来ず、外から力をかけてもあまり動かことが出来ません。


ボクサー骨折

これは文字通りボクシングのボクサーのように、こぶしを握った状態で固い壁等に強くぶつけたり、打ち付けたりして起こる骨折です。ボクサー骨折とはいいますが、通常、本当のプロボクサーはこのような箇所は骨折しないようです。
この骨折のほとんどのケースが、喧嘩で相手をなぐったり、ゲームセンターなどでパンチングボールを叩いて骨折するようです。
薬指や小指側のこぶしのすぐ上が骨折し腫れ上がり、手の甲が厚くなると共に、指の曲げ伸ばしが不自由になります。
これも、ただの打撲だと思って放っておくと、変形が残り将来、指同士が交差して手が握れなくなったり、手の格好が悪くなったりして、やっかいなことになる骨折です。
場合によっては、手のひら側に変形して突出した骨折部が、物を握った際に当たったり、頑固な痛みがなかなか取れず、泣くことが多い骨折です。

このレントゲン写真は、小指と薬指の付け根の中手骨という骨が2本、手のひら側に折れ曲がったボクサー骨折です。

こぶしの骨折部分の青い線の方は小指の側で、手の甲の部分が折れ曲がり、変形しています。

薬指の付け根のピンクの線で囲った骨折部分も、小指側と同じように手のひら側に強く折れ曲がって変形しています。

このような骨折も、徒手整復してきれいに治すことが可能です。

手の甲を斜め横から見たレントゲン写真です。

このケースは、小指側の中手骨だけが折れ曲がったものですが、変形と痛み、腫れが強く耐えがたい症例でした。

このような顕著な変形も、徒手で元通り整復することが出来ます。

壁などをなぐって、こぶしの先だけではなく、手の甲まで腫れや痛みがあるようでしたら、骨折の疑いですので、いち早く医療機関を受診して下さい。

このレントゲン写真は、小指と薬指の付け根の中手骨という骨が2本、手のひら側に折れ曲がったボクサー骨折です。

こぶしの骨折部分の青い線の方は小指の側で、手の甲の部分が折れ曲がり、変形しています。薬指の付け根のピンクの線で囲った骨折部分も、小指側と同じように手のひら側に強く折れ曲がって変形しています。

このような骨折も、徒手整復してきれいに治すことが可能です。

上記の、強く変形し曲がったレントゲン写真の症例を、徒手で整復した後の写真です。

軸もまっすぐに改善され、変形はきれいに矯正されています。

この状態のまま、皮膚の外からアルミや熱可塑性プラスティック固定材などで固定して骨の癒合を2~3週間待つことになります。

その間、ケガをしていない健常な指の機能を損なわないようにリハビリを行ったり、固定包帯がゆるまないように適宜、巻き変えたり補強したりして施術します。

この足の外見写真は、足の指のケガですが、どこのケガなのだか皆様にも直ぐに分ると思います。

足の小指の脱臼と骨折が両方ある重度のケガなのですが、このケースも幸いに手術をせずに、徒手整復でまっすぐに治すことができました。

足の小指があらぬ方向を向いていることで、この症例のような脱臼には誰でも気付きますが、外見にひどく現れない骨折もあり、注意が必要です。

捻挫や打撲でも、これ以上にひどく腫れて痛むものもありますので、素人判断は禁物です。

ほんの僅かですが指のケガを提示してきました。

今まで述べたように、外見だけではケガの軽重は分りにくいものです。

専門的には、まだ山ほど心配なケガがありますが、入門編と言うことで「指のケガ」はこの辺にしておきます。

どんなケガでも、いつでも直ぐに診てもらえるお医者様や整骨院の先生を持って下さい。

プライマリーケアといって、最初の診立てと初期治療が大切です。

また、多くの専門医との連携を持っている先生を頼ることが大切です。



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